理性

 人間が人間である意味は何なのだろうか。僕には未だ答えがわからない。

 いつの間にか僕たちが過ごす場にはアルコールが用意されることが多くなり、本当に安心できる場所はもうこの世界には存在しないかのようだった。

 わざわざアルコールで理性を捨てたがるのであれば、そもそも人間になんて生まれてこなければよかったのに。

 

 薄汚れた繁華街の片隅の陽の当たらない一室で、白く細い首を絞めながら、僕はいっそ初めから獣でありたかった。

 人間になんて生まれたくなかった。