栄光の時代は過ぎ去って、もはや我々は死にゆくのみ

 体感時間で言うならば、人生の折り返しは20歳とかそれくらいらしい。僕はいつの間にか死にゆく存在になっていた。

 年を重ねるのが悲しくてたまらない。20代になった時なんて悲しくて悲しくて仕方がなかった。「男は30代が一番輝く」なんて言われることもあるけど、それはあくまで社会的な輝きあって、純粋なエネルギーでは10代に敵わないと思う。

 10代が羨ましくて仕方がない。彼らの多くは「学生である」というだけで無条件に保護される。生きていることに後ろめたさがない。あらゆる可能性を内に秘めた青少年が発するオーラ。「人生は素晴らしいものである」ということを知らしめてくれるそのオーラは、一部の人間にとってあまりに残酷だ。

 平成初期に生まれた僕たちの時代はもう「語られる時代」へと変わってしまった。これまで時代の最先端を走っていた僕たちは既にその地位を奪われて、これからはかつての栄光を懐かしみながら、10代の若者たちに嫉妬するしかなくなるのだ。

 

 僕はもうすぐ学生でなくなる。社会の求める"人材"になることができなければ、社会に殺される。

  「今までさんざん支援してやったのに、我々の求める存在に育たなかったお前はゴミだ。」

 そんな声が聞こえるようだ。タイムリミットは刻一刻と迫っている。