何の意味も成さないこと

 お久しぶりです。台湾から帰ってきました。

 大阪から台北に飛んで、台北で自転車を買って台湾一周に挑戦しました。これが前回言っていた計画ですね。あともう少し着くのが遅ければ春節で店が閉まっていて自転車が買えないところでした。

 僕は高一の終わり頃にバイクの免許を取って以来自転車にはほぼ全く乗っていないという経歴の持ち主なんですけど、そんな素人がいきなり毎日100km以上漕ぐ生活を2週間続けて、本当に素直な感想なんだけどめちゃくちゃ辛かった。筋肉痛はすごいしお尻は痛いし、ついでに膝まで痛み出したから途中で何度諦めようと思った。なんでこんなこと始めちゃったんだろうって思った。

 

 結果としては最後まで漕ぎ続けて1261km漕いだところで台北にゴールしたわけなんだけど、今回の3週間で改めて旅とは何なのだろうと考えてしまった。なんせ毎日8時間も9時間も漕いでいたから、考える時間は有り余っていたんだ。

 今回一番強く感じたのは「旅は虚しい」ということだった。こんなことをしてもなんの意味も成さないし、日本で友達と遊んだりバイトをしている方がよっぽど真っ当で有意義なんじゃないかなって。旅をしても何かが物として残るわけじゃない。自分の中に積み重ねられた経験だって、本人にとっては満足のいくものかもしれないけど、それで世界が良くなるかというと何も変わらない。

 僕は自転車を漕いでいて時々、自分がこの世界から一切切り離された存在であるように感じた。たくさんの町を通り抜けてたくさんの日常とすれ違ったけど、僕は時速18kmで去ってゆくだけの存在で、日常を送っている人々との間には見えない膜があった。大きな国道の端っこで、一人ただひたすらにペダルを踏んでいた自分はその瞬間この世界に何の影響も与えていなかったんだ。

 旅は虚しい。旅は単なる自己満足だ。前から分かっていたんだけど今回改めて身に染みた。延々と自転車を漕ぎながら、何度かその虚しさに押し潰されそうになった。普段なら「意味のないことを真剣にやるから良いんだろ」なんて考えるはずなのに、たぶん身体的に疲れていたせいもあるんだろうな。

 

 なんだかネガティブな話になってしまったし一周の内容に全然触れていないけど、感想としてはやっぱり楽しかったし、これからも機会があればどこかに行きたいなと思う。虚しいことだと分かっていても僕はそこに吸い寄せられてしまうし、やっぱり旅は麻薬なんだろう。