それでも僕は「就活なんて糞喰らえ」と叫び続ける。

 僕は吟遊詩人になりたかった。詩を唄いながら諸国を放浪して生きてゆきたかった。だけど、冷静に考えてみると僕は楽器ができなかった。

 一度グーグルで「吟遊詩人 なり方」で検索してみてほしい。見事にFF14の記事ばかりだ。僕は、ファイナルファンタジーをやったことがない。

 

 僕は就活なんてしたくない。この前、マイナビEXPOとかいう就活イベントの画像がリツイートされてきた。パーティションで区切られたブースに群がる黒い人。これを「気持ち悪い」と感じない人はどうかしている。断言する。どうかしている。

 たぶん皆だって分かっている。日本の就活は異常だ。分かっていながら、たぶんどこかで折り合いをつけてやっているんだろう。今の世の中には、自分の納得いかないことに対して「それはそういうことだから」と割り切れる人間こそが大人であるとする風潮がある。僕の「就活なんてしたくない」という発言は、大人の世界に反発する思春期の子どもの発言と同じ類いなんだと思う。

 僕は、自分が一部の人からバカにされていると気が付いている。社会で生きてゆくために自分の中で折り合いを付けた"大人"な人々から見れば、僕はギャーギャー喚いているガキなんだ。20歳にもなって「大人は汚い!」なんて叫んでいるようなものだ。

 

 こんなところで就活システムについて文句を言っているより、スーツを着て合同説明会やセミナーに行く方が、どう考えても賢明だ。それは十分に分かっている。それでも、僕は可能な限り反発したい。「自分の持つ感覚は正しい。狂ってるのは社会の方だ」そう信じていたい。どれだけ人にバカにされても、僕はどこまでだって逃げてゆきたい。

 「それはそういうことだから」という言葉は僕にとってあまりに屈辱的だ。